

みなさまごきげんよう〜〜。
寒い寒いと言っていたのが、ようやく日差しがやわらかく、春の気配が感じられる頃となりました。夏生まれのおば茶記者、太陽を見ると非常にうれしくなります。
去年の夏は公私ともに・・・ていいますか、公(仕事)で、人生最大の難局に直面していたのであります。心を鬼おろしでゴリゴリすりおろされるような試練が、大波小波でざんぶざんぶ。流石に心はぼろ雑巾のようになり、なんだかやさぐれてきた頃のこと。心の友が誘ってくれたのがこのリトルティーポットさんでございました。
そういえば、いつかの大塚小学校の稲刈り取材の際、保護者の方々から
「英国風の紅茶が飲める店が大人気!」
と、伺ったことを思いだしたおば茶記者、これは行かねばなるまいとお出かけしてきたのであります。そんな「なつのおもひで」を一つご紹介いたします。

「古い、でも西風新都のまわりでよく見かける純日本的な民家を、おもしろくリフォームしたお店があるんだよ」
とは、かねてから聞いておりました。玄関は雲のディスプレイ。それにシャボン玉がふわふわと浮かんでおりました。

玄関先の赤いポストは王冠つき。英国でVといえば、ヴィクトリア女王でございます。1901年に亡くなるまでの在位63年。19世紀、大英帝国が最も繁栄した時の偉大なる女王陛下の紋所になんだか気分があがってきたおば茶記者であります。
土間に一歩はいると、天井が高くてすがすがしい空間が広がっておりました。黒々とした太い梁。これぞ日本家屋!という堂々たるつくりです。
そして、奥の襖絵の迫力といったらどうですか!滝を登る鯉は龍になる、といいますが、龍顔負けの鯉でございます!この豪放な鯉が空間をものすごく活性化させていたのでございます。


「空いてるところへどうぞ」とのことで縁側に腰を掛けてメニューを拝見。お客様に小さな子連れのお母さんが多いのを象徴するような、かわいらしいメニューです。
おば茶記者の目に飛び込んだのはスコーン。土間に据え付けられた保温箱に並んでいるアレです。
「英国のおばあちゃんのレシピ」
これは早速いただかなければなりますまい。



トレイに載せられてきたのは、おにぎりのような丸い形にこっくりとした香りのスコーンです。クロテッドクリームはスコーンを食べるときのお約束のようなものです。
もともとスコーンはスコットランドの郷土食。自分でごくたまに作ることもあるおば茶記者。独特の割れとふくらみで、食べるとどうも喉が詰まるような粉もん…というイメージがありました。しかし、この「英国おばあちゃん」のスコーン、中はしっとりふんわりしています。干したクランベリーが甘酸っぱい。甘さは控えめでさくさくと口に入ります。今まで食べたなかで一番おいしいスコーンでは!と思いました。

ちなみに、これまでのおば茶記者の最高は、香港のペニンシュラホテルで食べたアフタヌーン・ティーについてくるスコーン。香港の英国式のアフタヌーン・ティーは夕食前の軽い食事といいますか、サンドイッチやペストリー、ホームメイド菓子にスコーンが3段の皿に分乗してやってきます。
焼きたてのスコーンにはクロテッドクリームという、生クリームをさらに濃縮したようなクリームなんかがついてきて、はっきりいってお茶請けどころか「満腹になる」のです。


続いて、ベイクドポテトです!
そのままでもすごく美味しいポテトをさらに二つに割り、ピザのようにトッピングをして焼き上げたものはコチラ。大昔、石焼き芋の要領でジャガイモを焼いたものを食べたことがあります。ポテトが驚くほど甘く、栗みたいにこっくりする。それを思い出させる深みのある味でした。

ベイクドポテト専用オーブンです!ガラスのショーケースと一体化したつくり。イギリスでは健康的なファストフードとしてベイクドポテトは人気があるのだそうです。
この扉のレリーフをご覧ください。おば茶記者がどっぷりハマっている英国ドラマ「ダウントン・アビー」の一コマを思い出してしまいました。料理長さまがいる!!!(笑)


美味しいものを食べた後は、このおうちの中を探検してみました。インテリアが独特の雰囲気を持っていて、なんだか不思議の国に迷い込んだような空間が広がっておりました。
かつて、この家に暮らした人たちの道具も大切に使われていました。御菓子箱は今や携帯電話の充電器が備えつけられています。驚いたのは手水鉢!扇の形に彫りぬかれた凝ったつくりです。なんともおしゃれじゃありませんか!


このおうちはお庭がとても広い。とてもキレイに手入れされていました。
作業中、ちょっとだけお話を伺いました。こちらのカフェを作る際の協力者にしてイギリス人のマークさん。母国では服飾デザインの仕事をしておられたのだそうです。
「私は、本当は英会話の教師です。」
と、作業しながらにっこり。いろんな人のお手伝いがあって、2012年4月にオープンしました。
この古い家の「古さ」を気に入ったとのこと。
「この家はね、お年寄りから小さな子どもまで集える、そんなお店にしようと思った。それがきっかけ。」

築102年の古いおうち。玄関の赤いポストはレプリカだそうですが
「この家と同じ時代のイギリスの雰囲気をいれたいと思った。」
ということで、とりつけることにしたそうです。イギリスでは男性は家のことはなんでもする。大工仕事、庭仕事、「みんな自分だよ。」汗びっしょりで作業続行、ご苦労さまです。
マークさんと一緒にこのカフェを立ち上げた島田美香さんは、小さな子どもたちが過ごしやすい空間にしていきたかった。マークさんは街のコミュニティを活性化する役割を目指したい、というそれぞれの想いが合致して実現したのがこの「リトルティーポット」なのでございます。


庭先で元気よく遊ぶ子供たちの姿を、眺めながらアイスティーを飲み、友人と他愛なくおしゃべりしてこの家が我が家のように馴染んで来たりしているうち。仕事で疲れたおば茶記者、なんだか元気がわいてきたのでありました。それまで心を占めていたネガティブなことが、なんだかどうでもよいものに思えてきたのであります。
「おいしいもの食べて、ぼーっと息抜きするのって大事だなあ…。」
ゆっくりと時が過ぎていくのを楽しみ、お店を後にしたおば茶記者でございました。

英国風古民家カフェ「カフェ・リトルティーポット」
広島市安佐南区大塚西二丁目10-10
TEL 082-849-5808
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